童話:ファイナンス

楢諦

草いきれの中、今日もスコップで穴を掘る音が響いていた。ザク、ザク――湿った土が舞い上がり、ジリジリとした陽の光を浴びている。男は夢中でスコップを振るい続ける。
やがて、彼はスコップを置き、掘り上げた土の山を見た。額の汗を拭いながら、その盛り上がった土を眺める男の顔は、充実感で満ちているかのようであった。
「さあ、ここからが本番だ…」小さく呟く声が風に流された。
男は再びスコップを手に取り、慎重に土を穴へと戻し始める。埋め戻された地面は平らにはならない。掘り起こされた土は、空気を含んで膨らみ、嵩が増すからである。男はそれを均さない。この増分を生み出すことこそが、男の目的だった。男は毎日、穴を掘っては埋め戻す。その繰り返しこそが、男の日々の全てだった。
その日も、また次の日も、男は穴を掘って埋め戻す。そして男は、増えた土を見て満足するのだった。