童話:孤高の聖人と星の預言者

昔々、遠くの山奥に、一人の青年が住んでいました。彼の名前は「ナラノ王」。ナラノ王は村を離れ、自分の力だけで生きることを決意したのでした。村の人々は、「山には恐ろしい熊や狼が出るぞ」と彼を心配しましたが、ナラノ王は冷笑的に言いました。
「最も恐ろしいもの。そんなものは人間と決まっている。」
ナラノ王は山のふもとで出会った一匹の犬を連れて行きました。その犬は、森の奥深くで迷子になった狼と犬の混血で、「カゲ」と名付けられました。カゲはナラノ王に忠実で、誰よりも彼を守りたいと強く願う特別な犬でした。
山での暮らし
ナラノ王は、自分の手で生活を整えました。風車を立て、川の水を引き、自らの知恵で自然と調和して生きました。食べられるキノコを探し、ウサギを放してはその肉を食べ、骨はカゲに分け与えました。夜には満天の星を見上げ、自分の道を確認するように星に誓いを立てました。
しかし、ある日、不思議な光をまとった使者が空から降りてきました。それは「星の預言者」と名乗る小さな子供でした。
星の預言者との対話
預言者はナラノ王に言いました。
「ナラノ王よ、あなたは自分だけの道を歩み、自分にしかわからない味を求めています。でも、山を守るためにはその味を人に分け与えることも必要なのでは?」
ナラノ王は言いました。
「存外、それが美味とわかれば、凡俗がたかり、山は荒らされる。キノコも枯渇してしまう。何より、生活排水の処理がずさんであったことが、露見してしまうではないか。」
預言者は静かに頷きました。
「確かにその通り。だが、あなたも時折山を降りる必要がある。彼らはあなたをゾンビだと思うかもしれないが、実際には迷える旅人だ。」
ナラノ王は言いました。
「とりあえずワシは、村の水は飲まないだろうね。」
終わりなき道
その後、ナラノ王は山の中での生活を続けましたが、心の中に少しだけ預言者の言葉を留めました。彼の味を理解できるものが現れた時、その味は孤高から普遍へと変わるかもしれない。けれど、それは山奥の静けさを乱すことも意味します。
彼は決して答えを急ぎませんでした。ナラノ王とカゲは夜空の星を見上げながら、自分だけの味を探し続けました。その味は誰にも理解されないかもしれないけれど、それでも彼の胸の中で輝き続けたのです。
このブログへのコメントはmuragonユーザー限定です。